那覇農連市場の再開発 地権者らが「待った」

 沖縄県那覇市の農連市場地区の再開発で、計画に反対する地権者の嘉数安夫氏と住人の上原正稔氏は5日、市場内で記者会見を開き、「法廷闘争になっても反対を続ける」と表明した。

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取り壊された農連市場の看板を前に記者会見する上原正稔氏(右)と嘉数安夫氏

 両氏は、再開発計画は「強引で違法」だと主張、これまで立ち退きに伴う権利返還に応じていない。昨年12月7日には那覇警察署に告発状を提出した。これに対し、市場の再開発を管轄する那覇市農連市場地区防災街区整備事業組合(新垣幸助理事長)は今月2日、2人の仮処分を那覇地裁に申し立てることを決定した。

 県は建設大手のかねひで建設に特定業務代行を委託し、すでに解体工事が始まっている。上原氏は、「店主らに十分な説明もなければ、営業が再開できるまでの保証もないため、多くは不安と不満を抱いている」と話した。

 1953年の開設以来、農連市場は多くの県民から親しまれた「食の台所」だが、老朽化や防災設備が十分でないことを理由に再開発される。総工費は約177億円、2018年3月31日に完了する計画。那覇市はこのほか、農連市場に近い牧志公設市場の老朽化に伴う移転・建て替えを予定していたが、那覇市中心商店街連合会など16団体の反対により計画が撤回された。