ソフトパワーでも日米連携

医療や人道支援が抑止力に

自民党沖縄県連会長に就任 島尻安伊子・参院議員に聞く

 自民党沖縄県連は4日、那覇市で県連大会を開き、島尻安伊子参院議員を県連会長に充てる人事を承認した。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり政府と翁長雄志(おながたけし)知事の対立が先鋭化する中、橋渡し役が期待される。島尻会長に県政評価、普天間飛行場の危険性除去及び辺野古移設、抱負などについて聞いた。(那覇支局・豊田 剛)

強く、しなやかな姿勢で課題解決する自民党に

辺野古移設、県民に正しく説明

400 ――県連大会ではあいさつの中で「強くしなやかな自民党県連をつくる」と言った。具体的にはどのようなイメージを抱いているか。

 木は幹が強くないと枝葉が折れやすくなる。沖縄には問題が山積しているが、芯を強く持って課題解決に取り組んでいきたい。一方で、交渉は相手がある話で、一方的な姿勢では事は成らない。これがしなやかさだ。県民の暮らしが今日より明日、明日よりあさって良くなるために努力していく。

 自民党とは責任政党だ。解決力のない政治は滅びる。「政治は美学ではなく、徹頭徹尾、実学だ」と後藤田正晴元官房長官が述べたことがある。日本は自助共助公助をベースに戦後復興し現在がある。課題を解決できる自民党をアピールしたい。

 ――「強い」というのは経済、外交、防衛も意識しているのか。

 初めて参院選に出馬したとき『台所から政治を変える』をキーワードにした。社会の基礎、家庭の台所から見える財政、そして、外交につながるような近所付き合いをきちっとふまえてやっていくのが家庭の強さであり、国家の強さだ。

 ――昨年の知事選と衆院選の結果をどのように総括しているか。

 革新系は知事選の勢いをそのまま衆院選に持ち込んだ。辺野古移設についてきちっとした情報が有権者に伝わらなかった。在沖米軍施設の整理縮小の後の移設という基本的な部分が伝わらなかった。空中給油機KC130の岩国移転などの負担軽減の細部も説明し切れなかった。こうした反省点を踏まえ、今後は1区から4区の各支部を強化していく。有権者の声をしっかり拾い上げ、今起きていること、正しい情報を細かく説明していく活動をしたい。

 ――翁長知事は「オール沖縄」を御旗に、辺野古移設問題で政府と全面対決の姿勢を崩さない。

 昨年末からの一部報道を見る限り、政府がいかにも県に圧力を掛けていて、知事が政府要人との面会を拒否されたかのような印象を与えているが、事実は違う。県庁職員にはしっかりと日程の約束を取ってから上京するよう説明した。

 6日は、県議の具志幸助幹事長と一緒に知事を訪問し「これまで日米同盟を認める立場で一緒にやってきた仲間として協力できることは協力したい。県政で話し合いできるのは自民党だ」と伝えた。

 県政与党は、「オール沖縄」と言いながら、違う意見は排除しているのはいかがなものか。たくさんの意見を集約するために議論の場をつくるのが民主主義だ。

 事実上、革新系に支えられている知事が日米同盟を認めない勢力と一緒になっている。こうした矛盾について県政野党として県議会で質(ただ)していく立場だ。

 ――3月31日には在沖米軍再編の一環として、西普天間地区が返還された。

 2013年4月に「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」が合意されて以来、初めて51ヘクタールという、まとまった返還が実現した。今後、跡地をどのように利活用するかということが問われるが、仲井真(まかいま)県知事時代から、国策とし国際医療拠点の形成を進めている。

 強調したいのは、日米同盟の在り方として、軍事面だけではなくソフトパワーによる連携だ。医療面での強い連携を対外的に示すことは抑止力にもなる。人道支援でもフィリピンの高波の際、在沖米軍基地からオスプレイがすぐに支援に向かった。フィリピンのヴォルテル・ガズミン国防相が1月末に沖縄を訪れ、「沖縄に米軍基地があることはフィリピンの安心にもつながる」と述べた。人のつながりは抑止力になる。

 アジアの主要都市と距離が近く地政学的に有利な沖縄は、人道支援や経済面で世界に貢献できるアジア諸国のハブとしてプレゼンスを高めていくべきだ。


しまじり・あいこ 昭和40年宮城県仙台市生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。平成16年那覇市議会補欠選挙で初当選し2期務めた後、同19年参議院議員補欠選挙で初当選。同22年7月参院選2期目当選。第2次安倍内閣では、内閣府大臣政務官(沖縄、金融庁等担当)、復興大臣政務官を兼任。現在は、参議院で環境委員会委員長、自民党で沖縄振興調査会事務局長を務める。