ハンセン病家族訴訟めぐるフェイクニュースで選挙を妨害する朝日
◆「控訴する」と報じる
また朝日のフェイクニュース(虚偽報道)である。
元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた熊本地裁判決をめぐって、朝日は9日付1面トップで「政府は控訴して高裁で争う方針を固めた」と大きく報じた。「政府内では今回の判決に対して控訴せず確定させることはできないとの意見が強く、控訴期限の12日を前に控訴する方針」と断じたのだ。
だが、安倍首相は9日午前に「控訴せず」と表明し、朝日のフェイクニュースは半日も経(へ)ずに暴かれてしまった。12日には首相の「お詫(わ)び談話」で「訴訟への参加・不参加を問わず、家族を対象とした新たな補償の措置を講ずる」とした。まさか安倍首相が天敵の朝日に赤っ恥をかかせるために方針を転換した? そんなことはない。「控訴する」と書いたのは朝日だけだ。
毎日9日付には「政府内に控訴断念論」(2面)とある。「自公政権には元患者への賠償責任を認めた01年判決で、当時の小泉純一郎首相が判決を受け入れ、訴訟終結につなげた実績がある。このため首相官邸を中心に、今回も控訴せず政治解決すべきだとの考え方が広がりつつある」「今回裁判を続けた場合に参院選への影響も懸念されるためだ」。朝日と真逆の分析で、その通りの展開となった。
◆「おわび記事」を掲載
そんなわけで朝日は翌10日付1面に「誤った記事 おわびします」を掲げるはめになった。3面には「本社記事、誤った経緯説明します」と題する栗原健太郎・政治部長の署名記事がある。
「法務省や厚生労働省、首相官邸幹部は控訴するべきだとの意向で、あとは安倍晋三首相の政治判断が焦点でした。首相は7月3日の党首討論会で『我々は本当に責任を感じなければならない』などと発言しました。しかし官邸幹部への取材で、この発言を受けても、控訴の流れに変わりはないと受け止めました」
官邸幹部への取材で判断したというのだが、これではまるで官邸幹部に嵌(は)められたと言わんばかりではないか。栗原氏は「参院選が行われている最中に重要な政策決定をめぐって誤った記事を出し、読者や関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまい誠に申し訳ありません」と述べている。まさに選挙妨害だ。安倍政権のマイナスイメージを狙って1面トップで報じたのではあるまいか。そう疑わざるを得ない。
朝日には“前科”があり過ぎるからだ。1950年の共産党幹部、伊藤律の「架空会見記」(同年9月27日付)はさておくとして、2005年には安倍首相(当時、官房副長官)と故・中川昭一氏が「NHK『慰安婦』番組改変」とする政治圧力捏造(ねつぞう)報道があった(同年1月12日付)。長野支局の記者が偽造メモで田中康夫長野県知事(当時)のコメントを捏造し、それを使って政治部が新党結成をにおわすフェイク記事を載せたこともある(同8月22日付朝刊)。
「あの民主党政権」が誕生する直前には高橋純子政治部記者(現編集委員)が、奈良県川上村の元森林組合長が民主党と共産党との「選挙協力」を「主導している」と書き(09年1月11日付「ルポにっぽん」)、元組合長から事実でないと抗議を受け、「おわび」を載せた(同年4月25日付)。
◆選挙ルポ記事でも偏向
今回の「ルポ現在地 2019参院選」を見ると、やたらと共産党系有力団体が登場する。7日付は「群馬県の前橋協立病院」「中野共立病院(東京都)」で、引用するデータは「全日本民主医療機関連合会が調べている。加盟する636医療機関を対象にした調査」。12日付には「港町診療所(横浜市)」。いずれも民医連という共産党の御三家とされる支援組織の一員で、比例代表に立候補している党書記局長は民医連の理事をしていた。
こんな団体ばかりを取り上げるのはいかがなものか。フェイクも厭(いと)わない朝日にとって「李下(りか)の冠」は屁(へ)の河童(かっぱ)か。
(増 記代司)