恣意的な世論調査で元号を貶めようとする朝日のダブルスタンダード

◆元号反対の論調今も

 新しい元号「令和」に国民は大いに沸いた。新年度が始まる4月1日の発表で、天皇のご譲位に伴う新元号だけに、まるでお正月を迎えるような風景だった。

 朝日6日付メディア欄は「令和フィーバー 報道も過熱 災害・不況…平成リセット願望?」と、過熱報道を振り返っている。新元号に水を差し続けてきた朝日にとっては敗北宣言に等しい。

 朝日は元号の法制化(1979年)に反対した。その論調は今も続き、3月21日付社説「『改元』を考える 時はだれのものなのか」では「多種多様な時の流れ」を強調し、時は「自分だけのもの」と“個人”を全面に押し出し、国民が元号に否定的と言わんばかりに論じた。

 その根拠として挙げたのが3月の朝日世論調査だ。これがいかにも怪しかった。次のような質問と回答だったからだ(3月18日付)。

 「◆平成の元号が4月で終わり、5月から新しい元号になります。あなたが日常生活でおもに使いたいと思うのは、新しい元号の方ですか。西暦の方ですか。

 新しい元号     40
 西暦        50
 その他・答えない  10」

 どこが怪しいのかと言うと、元号か、西暦かと2択で質問しているところだ。これとは対照的だったのが読売の世論調査だ。それはこうだ(3月25日付)

 「◆あなたは、ふだんの生活や仕事で、元号と西暦では、元号を多く使っていますか、西暦を多く使っていますか、それとも、どちらも同じくらいですか。

・元号        41
・西暦        25
・どちらも同じくらい 33
・答えない      2」

 読売は元号と西暦に、どちらもを加えて3択としている。朝日と読売の調査結果を比べると、新しい元号を使うとしたのはいずれも40%でほぼ同じだったが、西暦は2択と3択で大きく分かれた。朝日の2択では50%になるが、読売のどちらもを加えた3択では25%と2択の半分に減り、どちらもが33%と西暦より多くなっている。

◆非現実的な質問2択

 普段の日常生活ではどうだろうか。例えば、終戦は昭和20年だが、東日本大震災は2011年。そんな具合にどちらも使っている人が多いのではないか。朝日の2択は極めて非現実的である。

 論より証拠、朝日自身が両方を使っているのだ。紙面欄外の日付の記述は、例えば昨日は「2019年(平成31年)4月8日」と西暦と元号を併記している。自らはどちらも使っておきながら、世論調査では元号か西暦かと2択で迫る。ダブルスタンダードも甚だしい。

 これには何か思惑があるに違いないと思っていると案の定、前記の朝日社説は「今月の朝日新聞の世論調査によると、日常生活でおもに使いたいのが新しい元号だと答えた人は40%。西暦だと答えた人は50%だった」と、元号が少数派のように描き、「自分」を強調する材料に使った。恣意(しい)的な世論調査をもって元号を貶(おとし)めようとしたのだ。

 朝日6日付のメディア欄は「新聞各紙は号外も発行。読売は約103万部、朝日が約20万部、産経が約9千部。毎日新聞は取材に部数を回答しなかった。日経は発行しなかった。『メルカリ』などには号外が出品され、千円以上で取引されたものもあった」と過熱報道に批判的だ。

◆フィーバーには便乗

 朝日は過熱報道を人ごとのように言うが、フィーバーに最も便乗したのが朝日だ。筆者は各紙のデジタル会員になっているが、「『令和』の号外プレゼント」のメールが真っ先に届いたのは朝日からだ。「号外がほしいというご要望が多数寄せられましたので、抽選で3千名様に無料でプレゼントいたします」とある。産経と毎日は後塵(こうじん)を拝した。

 もはやこうなれば、ダブルスタンダード(二重基準)というよりも「二重人格」と言うほかあるまい。

(増 記代司)