「同性婚」で「好きな人と結婚したいだけ」と幼稚な結婚観披歴した報ステ
◆婚姻障害定めた民法
「同性婚」が認められないのは、婚姻の自由や法の下の平等を保障する憲法に反するとして、国家賠償を求めて同性カップル13組が2月14日、一斉提訴した。この日夜、NHK、テレビ朝日をはじめLGBT(性的少数者)ブームをあおってきたテレビ局は同性婚の合法化で生じる社会混乱を無視し、同性婚を後押しする番組を放送した。
それは想定内のことだから、驚かなかったが、テレビ朝日の「報道ステーション」の出演者たちのコメントにはあきれてしまった。
一斉提訴した13組について、メインキャスター富川悠太は冒頭から、「この皆さんが求めているのは特別なことではないのです。ただ好きな人と結婚したいという、それだけなのです」と、図らずも結婚制度に対するあまりに幼稚な認識を披歴した。
重婚・近親婚を禁止、年齢の制限など、民法はなぜ婚姻障害を定めているのか。ただ「好きだ」というだけで結婚が許されるのなら、同性婚だけでなく、これらの婚姻障害をなくさなければならないではないか。
かと思えば、共同通信客員論説委員でコメンテーターの後藤謙次も「人間誰しも、誰を好きになるかは千差万別ですよね。LGBTの人たちの『幸せになりたい』という思いを誰にも否定する権利はない」と、富川と同レベルの発想で的外れのことを言っている。
わが国が一夫一婦の婚姻制度を取っていることが、どうして人が好きになる権利を否定していることになるのか、さっぱり分からない。好きな者同士、一緒に暮らしたければそうすればいい。ただ、社会というのは、男女が結婚して子供を生み育て、その子供が成長した暁には、また結婚するというサイクルを保つことで、秩序ある発展が可能となる。だから、結婚を男女に限定した上で、幾つかの婚姻障害を定めている。
◆家族制度崩壊の恐れ
富川にしろ後藤にしろ、「好きなのだから」「幸せになりたいのだから」という理由で同性婚を是とするのは、当事者の幸福だけに焦点を合わせて結婚制度を考えているからに違いない。現在の一夫一婦制を放棄すれば、社会の根幹を成す家族制度が壊れて社会混乱を引き起こすことは避けられないのに、そのことへの言及が全くないのだ。2人とも想像力が足りないのではないか、と疑った。
6年前に同性婚を制度化したフランスで最近、学校で「父親」「母親」の代わりに、「親1号」「親2号」と呼べるようにする法案が国民会議(下院)で可決したが、保守的な人々は家族制度を崩壊させると反発している。
これは、外国の話で、日本で同性婚が認められてもそうはならないと楽観的に捉える人がいるかもしれないが、それは甘い。テレビ朝日の「ビートたけしのTVタックル」が4年前、同性婚の是非で議論した時、ビートたけしは「お父さん」「お母さん」という概念をなくして「親でいい」と主張した。同性婚が制度化されれば「父母」という言葉は残ったとしても、少なくとも使用に制限が掛かることは覚悟すべきだろう。
後藤は「残念ながら、G7(先進7カ国)の中で同性婚が認められていないのは日本だけ」とも言ったが、それがなぜ残念なのか。日本は外国のマネをして家族制度を崩壊させるようなことはしないと、胸を張って主張すべきなのだ。
◆子供の人権問題回避
NHK「ニュースウオッチ9」も同日夜、同性婚問題について、10分間の特集を組んだ。こちらも「報道ステーション」同様、同性婚推進に偏った内容だった。同性婚に反対する識者のコメントはない一方で、「特別な権利が欲しいわけではない。われわれは平等なスタートラインに立ちたいだけ」というゲイの当事者のコメントを放送していた。
要するに、結婚した男女に認められた権利と同じ権利が欲しいというわけで、その権利には子供を生み育てる権利も含まれる。結局、同性婚問題は人工授精による出産や、いわゆる「借り腹」も認めるのか、という議論にまで行き着く。テレ朝もHNKもこの問題に触れるのを避けたのは、子供の人権の視点に立つ視聴者が増えて「同性婚反対」の声が高まるのを恐れたからではないのか。
(敬称略)
(森田 清策)





