蓮舫新代表誕生も民進の信頼回復への道は遠いと感じた読売テレビ

◆説明不十分な蓮舫氏

 民進党の代表選が行われ参院議員の蓮舫氏が新代表に選ばれた。党勢が低迷する中、その発信力、クリーンなイメージが「選挙の顔」としての期待を集めて圧勝。しかし、その後発表された幹事長が、政権下野の「戦犯」ともされる元首相の野田佳彦氏だったことから、失望が広がった。当初16日に新体制を発足する予定だったが、有力議員の役職辞退などから21日にずれ込みようやく新体制がスタートした。

 18日の読売テレビ「そこまで言って委員会NP」は、「新代表決定記念『民進党大集合』スペシャル」と題して、民進党の国会議員8人が出演。取り上げたテーマは、蓮舫氏の二重国籍問題、野党共闘、原発問題など多岐にわたった。

 まず、代表選中に浮上した蓮舫代表の二重国籍問題について、「問題はあるか」との質問に対し、これには民進党議員の2人が「問題なし」とした。

 この問題をめぐって蓮舫氏は、発言が二転三転した末に結局台湾籍が残っていることを認めたが、過去の雑誌で「自分は台湾籍」との発言をしていたこともあることなどから、二重国籍の状態を自覚していたかどうかも含め、依然として不明点も多い。蓮舫氏は23日の記者会見で、台湾籍離脱の手続きが完了したことを明らかにしたが、現時点で十分な説明責任を果たしているとは言えない。

 「法令違反の疑いがある」とした、元総務相の原口一博氏は「17歳の時に日本国籍を取得しているとすると、国籍法14条によって放棄しないといけないとなっている」と指摘。公職選挙法が選出要件を「日本国民」としていることから、同法違反の疑いについても言及した。

◆国家観の希薄さ露呈

 一方、「問題なし」とした元首相の菅直人氏は、「最初からきちんと調べて言えればよかった」と擁護。発言のブレが批判を招いた側面も大きいが、総理を目指す野党第一党の党首ということもあり、それだけで済む問題とは言えないだろう。菅氏には、かつて自衛隊の最高責任者が首相であることを知らなかったというエピソードがあるが、ここでも認識の甘さが見受けられた。

 これに対し、番組「パネリスト」で作家の竹田恒泰氏は「法令のどこに違反するかという問題よりも、日本人としてのアイデンティティーと台湾人としてのアイデンティティーにどう折り合いをつけるかという問題。台湾人としてのアイデンティティーを封印して、日本のために百パーセント働くということを示すことができるか」だと指摘。長谷川幸洋氏は「政治的な基本姿勢の問題、これをうやむやにする政党に国家を任せる事はできない」と強調。

 両氏の言う通り、日本の国民を代表する政治家として当然のけじめであり、これに、白黒つけられない党の体質は問題が多い。この問題における対応の曖昧さは、かねて指摘されてきた同党の国家観の希薄さを改めて表面化したと言えるだろう。

◆万年野党化の可能性

 一方、代表選でも争点となった野党共闘だが、これに関して蓮舫代表は、「与党対野党の構図が有権者には選んでいただきやすい」と発言。来月の衆院補欠選挙でも、野党候補の一本化が検討されている。

 番組の「共産党との共闘に賛成か、反対か」という質問には、8人中5人が賛成した。衆院議員の泉健太氏が「共産党の綱領を考えても(連立は)無理。無理なのに選挙だけ一緒に戦って国民にどう説明するのか」と真っ当な主張をする一方、原口氏は「敵の敵は味方」と野党共闘を支持した。

 共闘は「ある意味の戦術、戦略」とした菅氏は、前衆院議員の中田宏氏から「野党共闘で万年野党化する」と指摘されると、「万年野党になるなんて根拠のないことを言わないでください」とむきになって言い返した。しかし、目先の票目当てに共産党と選挙協力を続ければ、綱領に「日米安保条約の廃棄」とある同党から今後も「恩義」を売られることになり、その影響から逃れられなくなるのは明らかではないか。こうした民進党に有権者の多くが安心して国家の運営を任せられると思えるか疑問だ。

 15日の代表選当日の3候補の決意表明では、政策的な話は子供の貧困対策など社会保障問題に終始し、安全保障や憲法改正への言及を避けた。今のところ蓮舫新代表に対する世論の期待値は高いものの、同党が多くの国民からの信頼を回復し「政権可能な野党」となるまでの道はまだ遠いと感じた。

(山崎洋介)