共産党系の病院ばかり取材し「五輪中止」求める記事を書く朝日記者
◆病院の中で署名活動
東京のJR総武線・千駄ケ谷駅の近くに共産党の病院として名高い「代々木病院」がある。党幹部の多くがかかりつけ医にしている。共産党の大ボスだった宮本顕治・元議長は2007年7月、ここで亡くなった。
筆者も社会福祉士養成校の実習生だった頃、ホームレス支援でちょっとした事故に遭い、代々木病院に連れて来られた。むろん党幹部ではない。一般患者も診ており、一見して普通の病院だ。だが、待合室で閉口した。看護師が「核兵器廃絶の署名をお願いします」と、しつこく回って来るのだ。署名ノルマでもあるのだろう。患者への気遣いもへったくれもない。折しも共産党は党を挙げて反核署名運動を繰り広げていた。
事ほどさように共産党の病院は党の方針に基づいて動く。こんな病院や診療所が全国に640近くあり、民医連(全日本民主医療機関連合会)という全国組織をつくっている。だから新聞記者が医療問題で政府批判の記事を書こうとすれば、お安い御用だ。民医連の病院を取材すれば、それで事足りる。
2年前の参院選挙で朝日は「ルポ現在地 2019参院選」というシリーズを組んだ。初回は、「開けぬ展望『老後、ひとりぼっち』」と題する医療問題で(同年7月7日付)、記者は「参院選が公示された4日、群馬県の前橋協立病院を訪れた」と書き出し、中野共立病院(東京都)の話を聞き、民医連の調査資料を使って記事をつないでいた。どれもこれも共産党系だ。
朝日政治部の高橋純子記者は「ルポにっぽん/失職…そこに共産党」と題するウソだらけの共産党ヨイショ記事を書き(09年1月6日付)、「おわび」を余儀なくされた(同年4月25日付)。これも党員がネタ元の記事だ。「おわび」と言っても社のもので、高橋記者は知らぬ顔の半兵衛を決め込み、今では編集委員に出世し「多事奏論」という上から目線のコラムを書いている。
◆ネタ元は全て民医連
朝日6月29日付夕刊の社会面トップを飾った「語られぬ五輪中止、院長の怒り 『医療は限界』掲げた立川の病院」も、“共産党ネタ元”の類だ。この病院は立川相互病院(東京都立川市)で共産党系として知られる。窓ガラスに「医療は限界 五輪止めて!」と張り出し、ツイートを通じて話題を呼び(そのツイートも共産党系)、テレビや週刊誌でも取り上げられた。
だから目新しいものは何もない。記事には「掲げていた窓のメッセージの冒頭に『院長憤怒』と加えた」とあるから、これを新ネタとして売り出したようだ。共産党は都議選で「五輪か命か」と五輪中止をうたい文句にしていたが、「命」を強調するため総動員されているのが民医連だ。
それをご丁寧にも朝日は詳しく伝える。ネット版(同24日付)は民医連や全労連(共産党系・全国労働組合総連合)が「五輪中止を」の共同記者会見を行ったと報じ、地方版でも盛んに記事にしている。福島県版(同24日付)では「医療生協わたり病院」の署名活動を「医療関係者『五輪・パラ中止を』」と写真付きで載せている。むろん、この病院も共産党系だ。
署名活動の場所は福島市渡利という中心街から離れた郊外の病院前の路上で、病院側から取材を求めなければ、とても記事にできそうにない。朝日記者は共産党系から依頼があれば、カメラ片手に喜々として赴くのか。それとも初めから、つるんでいるのか。
◆タレコミ頼みで偏向
月刊WiLL8月号でジャーナリストの大先輩、高山正之氏と対談させていただいた(「創業以来の大赤字 捏造記事に謝罪もしない朝日に天罰」)。氏は「朝日の記者はタレコミばかりに頼るから、取材しなくなる」と批評されていたが、タレコミも取材依頼も大半は左から。それで朝日の紙面はそっちに偏る。そういう背景を知れば朝日の「院長の怒り」は白々しい、いや、赤々しい。これで一般紙とは文字通り赤っ恥だ。
(増 記代司)