台風21号に伴う記録的な豪雨で死亡した10人…
台風21号に伴う記録的な豪雨で死亡した10人のうち、5人は乗車中に浸水で流された「車中死」であることが分かった。豪雨時の避難手段などについて議論が起こっている。
冠水する道路を走る乗用車の映像を見ると、危なっかしく冷や冷やさせられる。当人たちも、ある時点から誤算に気付くのだろう。水の深さや量は予想を一気に超えることもあり、車は身動きが取れなくなったり、道路外に引っ張られたりする。
車での避難の是非はどうなのか。実は豪雨時の避難手段や心構え、要領について、われわれは実践的なことはほとんど知らないということに気付かされる。このことは既に10年ほど前から言われてきた。
平成21年に兵庫県などで発生した豪雨災害では、同県佐用町で死者・行方不明者が20人に上った。その中にはハザードマップで指定された避難経路を行く途中、犠牲になった人たちがいて大きな問題になった。
これについて、新潟大学災害・復興科学研究所所長だった福岡浩さん(故人)は「指定避難所に逃げろという場合、夜間か昼間かということだけで、そこに至る困難さが違うので、臨機応変に考えるべきだ。また多種多様な自然災害が生まれており、シナリオごとに避難手段や経路、避難場所を考え直す時期が来ている」と警告していた。
さらに「自然災害に関する知識を体系的に整え、小中学校の教育課程で教える時だ」とも。実践的な防災教育が求められる。