東日本の広範囲に大きな被害をもたらした…
東日本の広範囲に大きな被害をもたらした台風19号は、気象庁の当初予報では「狩野川台風(1958年)並み」と言われた。千人単位の死者・行方不明者が出た狩野川台風よりも今回は人的被害が少なかったことを受け、自民党の二階俊博幹事長が「まずまずに収まった」と発言して批判を浴びた。このような場合のコメントは難しい。
逆に被害が予想を超えた場合、コメントはしやすい。「予想外」とか「想定外」といったものになるはずだ。ありきたりの言葉ではあるが、その際それ以外の言い方は考えられない。
二階氏の発言が批判されたのは「まずまず」と「収まった」の組み合わせが原因ではないか。批判者からすれば、他人事(ひとごと)のような発言だと感じてしまう面があったのだろう。
特に、当事者である被災者にとっては「まずまず」だろうが何だろうが、自分やその周辺に現に被害が出ているのだから、二階氏の発言は楽しい話ではないはずだ。
むしろ当事者にしてみれば、発言内容よりは、自分が直面した事態をどう解決するかがもっと問題で、発言に構っている余裕なんかないということにもなるだろう。
「万人にとって適切な言葉」なぞ、この世にあるはずがない。その時「支持を受けやすい言葉」と「そうでない言葉」があるだけだ。政治家であれ誰であれ、その辺の塩梅(あんばい)を見極めつつ発言し行動することが世の中では不断に求められているということなのだろう。