交通機関の「計画運休」は、台湾などでは…


 交通機関の「計画運休」は、台湾などでは以前から実施されていたが、わが国の首都圏の交通網は大規模で複雑であるため、とてもかなわないと思っていた。ところが、昨年9月の台風24号や今回の19号の時に行われた。

 昨年はJR東日本が首都圏全路線の運行を午後8時以降取りやめ、私鉄も終電を繰り上げた。今年は半日全休という“本格的な”運休となったが、ともに大きな混乱はなかった。

 これは昨年が日曜日、今年は土曜日で、大半のサラリーマンが休みだったことが大きいだろう。東京都民は忙しい。従来は大雪の日でも、最寄り駅に早朝から張り付いて始発電車を待つ人などもいた。平日の計画運休であれば、どうだったか。

 ただ今回、交通機関がストップする中、デパートやコンビニなどが閉まり、娯楽施設の休業も周知され、JR渋谷駅前の交差点でも人っ子一人見られなかったという。都心で一斉に人の活動を止めるようにできたのは意外な感もし、大都市の別な一面を見せられた。

 都市工学が専門だった千葉大名誉教授の清水馨八郎氏は「自然災害の大きさは文明の規模の二乗に比例する。『まさかの時を考えろ』」と都市災害の危うさを訴えていた。今回のような事前の措置は「減災」の方法として有効だと分かった。

 所管の国土交通省も2回の計画運休で、都民の動向などデータを相当集めただろう。各交通機関はよく検討すべし。3回目の実施の時が勝負だ。