先日かかってきた知人からの電話の第一声…


 先日かかってきた知人からの電話の第一声が「あまりの寒さに目が覚めた」。知人はカゼを引くところだったという。熱帯夜のような暑い夜が続いたことと、クーラーが壊れていたせいもあって、いつものように窓を開けていたそうだ。

 確かに、このところの天候は先が読めない。台風一過で東京では9月としては6年ぶりの猛暑日になったと思ったら、ここ数日は急に気温が下がり、朝は肌寒いほどになった。

 台風の発生も多い。夏から気温が徐々に下がり、虫の声がしてきて、いつの間にか秋になっていたというのが、かつては定番だった。ところが、近年はこうしたクッションもなく、急に温度が上がったり下がったりして、夏なのか秋なのか分からない。体調管理に苦労させられる。

 異常気象という印象だが、ここ数年、同じ言葉を聞くので、もはや異常とも言えない。全体的に地球温暖化の影響があるのだろう。自然現象の変化に一喜一憂していると言っていい。季節感という言葉がむなしいほど。

 俳句の歳時記を開くと、9月の項目には秋の「七草」が載っている。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』によれば「萩(はぎ)」「尾花(おばな)」「葛(くず)の花」「撫子(なでしこ)」「女郎花(おみなえし)」「藤袴(ふじばかま)」「朝顔の花」が古くから言われてきた秋の七草。

 辛うじて分かるのは萩、撫子、朝顔ぐらい。尾花とはススキの別称だそうだ。花と名前が一致しないのは気流子だけではないだろう。季節感が分からないのも無理はないか。