最近の台風は毎年のように豪雨による甚大な…


 最近の台風は毎年のように豪雨による甚大な被害をもたらしてきた。ただ千葉県に上陸した台風15号の場合、雨の被害はそれほどでもなかったが、暴風による被害で現在も県内で約18万戸が停電している。

 東京電力によると、全域での復旧には最長2週間かかる。こんなことは日本の台風災害史上あまり例がないだろう。復旧の遅れの原因は、大規模な倒木や設備の損壊によるという。

 大規模な倒木をもたらしたのは、各地で観測史上最大を記録した暴風である。千葉市で最大瞬間風速57・5㍍、成田空港で45・8㍍、羽田空港でも43・2㍍を記録した。気象衛星の写真を見てもコンパクトな台風であることが分かるが、猛烈な威力を持っていた。

 太平洋の海水に蓄えられた太陽熱が台風のエネルギー源であり、このエネルギーが暴風や豪雨を発生させている。

 3週間近くも停電するという事態となったのは、想定外の暴風が吹いたからだが、近年の太平洋の海水温の上昇を考慮すれば、想定外とは言えないのではないか。少なくとも今後は、想定の範囲内と考える必要があるだろう。

 現代の便利な生活は電力に支えられている。停電は断水をもたらし、医療ほかあらゆる分野に影響することを痛感させられた。これからも15号のようなタイプの台風が日本列島を襲う恐れは少なくない。同じような被害をもたらす可能性はかなり高いだろう。問題は今回の教訓をどう生かすかだ。