製造業の一流企業でここ数年、不祥事が…
製造業の一流企業でここ数年、不祥事が相次いだ。東芝の不正会計問題、東洋ゴム工業の免震ゴム事業のデータ改竄、三菱自動車の燃費試験データ改竄(かいざん)、川崎重工業の新幹線台車の不良等々。
当時、川重の幹部の一人に話を聞いたが、「経済バブル期は、新卒者なら誰でもといった具合に大量に雇用したが、その付けが回ってきている」とバブル期の入社組を槍玉(やりだま)に挙げ、能力や社内倫理の欠如についてひとくさり。
その上で、社全体がグローバル化の荒波にさらされ、利益・効率至上主義に走ったという反省もあるということだった。川重以外の企業不祥事の原因についても、当たらずといえども遠からずだろう。この間の経営の難しさでもあった。
日産自動車で、前会長のカルロス・ゴーン被告の後を継ぎ、経営立て直しを図っている西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が、辞任する意向だというニュースが入ってきた。
株価連動型報酬をかさ上げし4700万円を不正に受け取ったという疑惑だが、前会長の会社の私物化を指弾してきた西川氏だけに、非難を避け切れないようだ。ルノーによる経営介入の防波堤になってきた西川氏が辞任すれば、日産にさらに厳しい局面も。
わが国には商業活動の教訓に「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」という考え方があり、それが愛社精神を培った。昨今、愛社精神の4字をあまり聞かなくなった。残念な事態だ。