首脳宣言採択も見送られ、成果の乏しい先進…


 首脳宣言採択も見送られ、成果の乏しい先進7カ国首脳会議(G7サミット)だったが、初参加のジョンソン英首相にとっては国際外交舞台へのデビューとなった。安倍晋三首相との初会談では、欧州連合(EU)からの離脱問題で「円滑な離脱に努力したい」と述べた。しかし、実際のところは「合意なき離脱」も辞さない構えだ。

 離脱後を見越し米国との自由貿易協定(FTA)締結にも乗り出しているという。トランプ米大統領との会談で「英国は羊肉も牛肉もポークパイも米国に売っていない」と語り、市場開放を求める構えを示したが、ここで「ポークパイ」が出てくるところが、この首相らしい。

 ポークパイというのは英国の名物料理で、豚のひき肉をパイ生地で包んで焼いたもの。高級なものではなく、パブなどでも注文できる。

 ビールとの組み合わせでランチを取るサラリーマンの姿をよく見掛ける。外国への豚肉の売り込みに、そういう一般的な料理をさも自慢げに言うところが、EU離脱強硬派らしい。

 世界にはいろんな料理があるが、その国の人々にとっては、小さい頃から食べ付けてきたものが一番おいしいのである。ただ、他国の人にそれを堂々と持ち出すところに素朴なお国自慢の心理が感じられる。

 とはいえ、こういうお国自慢は決して否定されるべきものではない。戦後の日本人はそういうことを田舎くさいと考える傾向があったが、それは誤った国際主義だろう。