食品大手マルハニチロホールディングスの…
食品大手マルハニチロホールディングスの子会社「アクリフーズ」群馬工場で製造された冷凍食品の一部から農薬マラチオンが検出された問題が、全国的な広がりを見せている。
今のところ因果関係の明確でないケースも少なくないが、同工場製の商品を食べ、下痢や嘔吐(おうと)などの体調不良を訴える消費者は約900人に上っている。
食品製造業の場合は特に苦情があった段階で、その内容をいかに的確に判断し対応するかが事態収拾のカギを握る。アクリフーズには、昨年11月中旬から「石油、機械油のような臭いがする」という苦情が20件も寄せられたが、農薬混入公表は年末の12月29日。もっと機敏な対応が必要だった。
また検査を依頼した外部機関が農薬検出の結果を出してから、その公表までに2日を要した。その上、今月6日までの製品回収率は23%しかないなど、事後のまずさも目立つ。
企業は「消費者重視」の旗を掲げて運営している。しかしクレーム対応がややもすると画一的で、その処理をいかに行うかの手際ばかりが重視されるきらいがある。
そのため外部の声が製造、製品管理に生かされず、現場の危機管理の要諦がぼかされている例が見受けられる。アクリフーズでも、農薬が検出されたピザ、コロッケ、フライはそれぞれ独立したラインで製造されていたため、外部からの声を集約した形で伝えられず、結果的に対応が遅れたのではないか。