今や自分で手作りの弁当男子も珍しくはなく…


 今や自分で手作りの弁当男子も珍しくはなくなった。気流子もしばらく弁当を作っていた時期があったが、結構、手間がかかる。弁当箱を洗い、そして、ご飯を詰め、おかずを入れる。食べた後には、やはり洗って家に持参する。

 仕事柄、デスクワークが多いのだが、時には付き合いで外食となることもある。そのような時には弁当は食べずに持って帰る。夕食として、わびしく消化することも。それは仕方がないが、毎日同じものを食べていると飽きがくる。といって、おかずのレシピを考えるのも面倒になってしまう。

 それで、簡単なおにぎりを主体にしてみた。これだと食べた後は、包み紙を捨てるだけで処理できる。作るのも、ご飯と梅干し、そして少しおかずを加えればいい。シンプルなものだが、意外と飽きがこない。

 かつて梅干しは、それぞれの家庭での手作りだったが、今ではスーパーなどの店で買うことがほとんどだろう。気流子が田舎に住んでいた時には、わずかな庭に紫蘇(しそ)を植えていて、夏になると母が漬けた梅を干していた。

 手作りなので、大きさも不ぞろいで、味もしょっぱかったり酸っぱ過ぎたり。そのあたりは、コンビニなどの品質管理されたものとは比べられない。それでも、自然の中で育った梅と母の手作りには、不思議な味わいがあった。

 その母が亡くなってしばらくたつが、おにぎりを食べる時、干されていた梅の風景を思い出すことがある。