中国・新疆ウイグル自治区で300万人とも…


 中国・新疆ウイグル自治区で300万人とも言われる大量のウイグル人が不当に拘束されていることに対し、日本政府は英国など21カ国とともに、国連人権理事会議長らに宛てて懸念を表明する書簡を送った。

 中国当局が進めるウイグル人への強制的な同化政策は、長い時間スパンを置いた民族浄化に他ならない。20カ国・地域首脳会議が先月開催された大阪で、ウイグル、内モンゴル、チベットの人権活動団体が集会を開き、ウイグル人のラビア・カーディル自由インド太平洋連盟会長は「祖国はもぬけの殻になった」と訴えた。

 今回、書簡を送った国々は、日英のほか、アイスランド、アイルランド、オランダ、ドイツ、フランスなどほとんどが欧州諸国で、アジアは日本のみだった。アジアの国々にも当然呼び掛けただろうに。

 ウイグルと民族・宗教・文化面で一番近いのはウズベキスタンなど中央アジアの国々だが、彼らは中国のために早々とウイグルとの国境を閉ざした。仕方なく多くのウイグル人は東南アジア経由でトルコに逃れた。

 東南アジアでもウイグル人の窮状は分かっているはずだが、一国も加わっていない。結局、中国周辺の国々は「一帯一路」構想などで中国に経済的にも取り込まれ、言うべきことが言えなくなっているのだ。

 そういう中で日本がただ一国、中国に、自由、基本的人権の保障を求めている。ウイグルの人々にとって、アジア唯一の希望と言っていいだろう。