AI(人工知能)について「いちばん効く…


 AI(人工知能)について「いちばん効くのは、製造業ではなく、サービス産業」(冨山和彦著『AI経営で会社は甦る』)と。AIは判断力の要素を持つから、翻訳や医療、顔認証などの分野で重宝されるが、取り扱いの難しさもある。

 そのニーズが年々高まる翻訳ビジネスでは「AIが人に取って代わるには、損害発生時のルール整備が必要だ」と、ジャスダック上場企業、翻訳センター(大阪市)の二宮俊一郎社長。

 同社では、特許関係や金融、製薬業のビジネス文書などの翻訳でAIを活用している。しかし「AIが99%正確だとしても、残り1%のために訴訟などのリスクは冒せない」(同)と慎重だ。

 医療関係では、画像解析にディープラーニング(深層学習)を組み合わせたAI技術が進展。従来の医師の目視による画像診断では見つけ出せなかったがんの兆候を検出できる。しかしAIがミスすれば、責任主体はどこかなどは不確定で、民主主義国家ではAIの医療行為の代償がかなり大きい。

 顔認証システムは、買い物の決済や空港の出入国管理の本人確認などに活用され、日常生活のさまざまな場面に顔を出す。特に中国のような独裁国家は顔認証の技術を駆使し、反体制派への「監視社会」を一気に構築しつつある。

 それが可能なのは、損害発生時のルール整備がなくても、トラブルの際、強権で押さえ込もうという腹積もりだからだろう。中国は一気に「AI大国」となる可能性が高い。