庶民の胃袋を満たす安価で栄養のある果物…


 庶民の胃袋を満たす安価で栄養のある果物では、バナナは優等生である。スーパーでは1袋(5~6本入り)が100円台半ばのセール価格で並ぶ。年間を通して買えるが、夏のスイカが出回るまでの5~6月に最も消費が増える。

 栽培は東南アジアで紀元前1万~5000年ごろに始まり、紀元前330年ごろに東方遠征したアレキサンダー大王(マケドニア)が持ち帰ったことから世界に広がったとされる。

 日本に初めて入ったのは明治36(1903)年に台湾から。当時は高価な希少品だったし、戦後も輸入割当制度などで庶民には高嶺(たかね)の花だった。

 これが昭和38(1963)年の輸入自由化で大きく変わった。今では果実の輸入量でバナナのトップが長く続き、平成30(2018)年は約100万3000㌧で、2位のパイナップル約15万9000㌧、3位キウイの約10万6000㌧を引き離して断トツだ。

 輸入元(平成27年財務省統計)はフィリピンが約86%、エクアドル約11%、グアテマラ、メキシコ、ペルーが少々。エネルギーの吸収効率がよく、テニス、市民マラソンやトライアスロンなどスポーツ舞台の栄養補給でも欠かせない。

 筑波大(谷中昭典教授)の臨床研究では、毎日8週間食べ続けたグループでは、全く食べないグループに比べて「(スギ花粉症の)くしゃみが軽くなった」と感じる患者が多かったという。ビタミンB6が多く含まれ、近年は健康食品としての評価も高めているのだ。