登山愛好家には四季を問わず山に登る人が…
登山愛好家には四季を問わず山に登る人がいるが、その一方で登山シーズンというのがあって、ある時期、ある場所に登山者が集中する。5月の連休や、土日、学校が休みの期間など。
谷川岳の一ノ倉沢などの岩場でも、一つのルートに複数のパーティーが取り付くようになると、順番待ちとなり、さらには先を行く登山者が石を落とし、それに当たって事故を起こす例も少なくない。
学生時代のことだが、山岳部にいて、そんな現場を目にしたことがある。岩登りをする時には、込み合うシーズンやルートを避けることを心掛けて計画を立てるようにしていた。
1996年5月にヒマラヤのエベレスト(8848㍍)で12人が死亡した大量遭難事故は、公募登山が主流になり始めた時代の出来事。ガイドがルート工作をしてくれて、アマチュアでも参加が可能となった。
事故の前には、ベースキャンプに大勢の登山者がひしめいて、各隊の話し合いによる登頂日の調整もうまくいかず、彼らが1本のルートに集中した。難所では「交通渋滞」となって行動が遅れ、天候が悪化して登山者は次々と亡くなった。
ネパールでは今春、エベレストへの入山許可証が過去最多となり、難所での渋滞が増す危険性を警告している。許可証は日本からの6人を含む48カ国378人に発行。危険性が高いのは8790㍍付近にある岩場「ヒラリー・ステップ」だ。渋滞を考慮した上での調整と計画が不可欠となる。