教育正常化を訴える教職員やそのOBなどの…


 教育正常化を訴える教職員やそのOBなどの組織、一般社団法人全国教育問題協議会(全教協)の「第38回教研大会」が東京都内で開かれ「山積する教育問題とその解決策」と題して講演やシンポジウムなどが行われた。

 この中で、現役の小学校教諭(50歳代)が「20年ほど前までは『小学校の先生』というのがなりたい職業の上位に入っていた。ところが、今はランキング外」と、先生の社会的地位の低下を嘆いたのが印象に残った。

 テレビドラマの「金八先生」や「熱中時代」を見、憧れて先生となったベテラン教諭としては、隔世の感があるということだろう。「これでは優秀な人材が集まらない。先生という職業の素晴らしさを社会は認識すべき」と訴えた。

 今は、部活を一生懸命指導している先生をブラック企業の社長扱いして顧みない時代だ。今後、部活の時間が減れば先生の負担は確かに軽くなるだろう。しかし、生徒指導という立場からすれば痛しかゆしの事例だ。

 全教協は2006年の改正教育基本法成立のために機運を盛り上げ、一役買った団体で、同法には愛国心の涵養(かんよう)が盛り込まれた。今日の「先生=聖職者」軽視の風潮はいたたまれないところだろう。

 明治以来の日本の教育システムの功罪はさまざまあろう。だが、ほぼ同質の教育を維持し、日本人のアイデンティティーが養成されてきたのも事実。学校における「働き方改革」の行方は楽観視できない。