群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が山中に…
群馬県の防災ヘリコプター「はるな」が山中に墜落し、乗員9人全員が死亡した事故。機長(57)は飛行時間約5000時間のベテランで、民間の東邦航空から4月、群馬県の防災航空隊に派遣されていた。
当日の航路や気象状況から、事故原因は霧や雲で視界が悪く方向を見失い、山林に翼を取られたことやエンジンの不具合などが考えられるという。
防災ヘリの墜落事故は1999年以降、全国で5件発生している。昨年3月には長野県の鉢伏山(1929㍍)の山中で、同県の防災ヘリが墜落して9人が亡くなった。この時もフライト歴の長い機長だったが、予想外の気流の変化に襲われた。
機長のとっさの機転や技能が、すんでのところで事故を回避するための大きなファクターであることは言うまでもない。だが特に防災ヘリの場合、気象条件などの変化が大小の事故やトラブルにつながるケースが少なくない。
従って安全運航には機体の整備はもちろん、運航目的を遂行するための適切な時間帯と航路の決定など、全体のしっかりした運航・危機管理が必要だ。
今回、事故機について義務付けられた予定航路の報告が適切になされていなかった。また、機長は事前に天候の悪さを気にしていたという報告もある。日本は諸外国に比べ、防災ヘリによるトラブル・事故情報の蓄積や、自治体間また航空会社間での共有が十分でないと言われる。峻険な山々が連なる国だけに不安が残る。