「おくられつおくりつ果は木曾の秋」(芭蕉)…
「おくられつおくりつ果は木曾の秋」(芭蕉)。8月は、暦の上では秋に入る。ところが実際は、これから猛暑が続く。特に、この夏は全国各地で40度を超える気温が計測されている。こうなると残暑などという印象はない。
熱中症で病院に救急搬送される人も少なくない。気流子が住んでいる所の近くは交通量が割合多く、毎日のように救急車のサイレンを聞く。この暑さだと、残暑見舞いよりも暑中見舞いを出した方がいいのではないかと迷ってしまう。
誰かに電話をする時も、体調がどうか、つい尋ねてしまう。電車で見掛ける夏休み中の子供たちは元気だが、付き添いの親たちはどこかぐったりとしている。
冷蔵庫の製氷機も消費量が上がってフル回転。氷ができるそばから、飲み物やソーメン、冷やし中華などに使うので、すぐに無くなってしまう。とはいえ、クーラーと冷えた水で少々腹の調子が心配でもある。
稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』では「秋」について「三暑が過ぎると秋が来る。残暑の中にも秋風の感じられるころからやがて天高く、月よし、秋草よし、虫よし、そして晩秋の紅葉に至るまで、秋は晴朗な一面ものさびしい季節である」と書かれている。
暦と実際の季節感のずれは割合あるけれど、今年は特にそれが大きい。それほど、この夏の暑さが異常だということだろう。冒頭の芭蕉の句が季節感にあふれたいい句であるだけに、何とも言えない気持ちになる。