今期芥川賞では、話題作の受賞はならなかった…
今期芥川賞では、話題作の受賞はならなかった。話題作といっても、内容や力量ではなく、作品の一部に先行作と類似した表現があった点で注目を集めた作品だ。
作者は北条裕子さん(32)、作品名は「美しい顔」。東日本大震災を題材にした作品だ。複数のノンフィクション作品と表現がよく似た部分が幾つか見つかった。
細部に関わる部分が類似しているとの指摘があった。読み比べてみれば、確かによく似ている。もっとも作品全体というよりは、特定の一部分が似ているということだから「盗作」とは言い切れない。報道も「類似」とは指摘するが、「盗作」とまでは踏み込んでいない。
「単行本になった時に参考文献を記載すればよいと考えていた」と作者が述べているところを見ると、他人の作品を読んだことは認めているわけだ。そうであれば、雑誌に発表する段階で文献を示せばよかったのにと思うが、なぜかそうしなかったことが疑念を招いた。
俳句の世界でも似たような話題が持ち上がった。TBS系の人気番組「プレバト!!」で6月に放送された東国原英夫元宮崎県知事の作品が、1年前に宮崎県の地方紙に発表された作品と酷似していた一件だ。
東国原氏は盗作を否定しているが、両作品を比べると、五・七・五の中で違うのは2文字だけ。類似の度合いは芥川賞候補作品よりもはるかに高い。現在、句を取り下げる方向で番組スタッフと協議しているという。