再生可能エネルギーの太陽光発電は発電パネル…
再生可能エネルギーの太陽光発電は発電パネル設置という比較的小さい初期投資で済むことから、森林伐採や農地転用を行うことで各地に建設された。しかし採算が取れず撤退し、環境悪化が進んで事業者と住民との間でトラブルが起きている所が少なくない。
一方、風力発電の場合も、住民の「風車が回る音や発せられる低周波で眠れない」などの苦情が多く、思ったほど普及が進んでいない。風力発電ではほかに、海上に造った施設で発電する洋上発電がある。
3年前には経済産業省の実証研究として、福島県沖に国内最大規模の洋上風力発電施設が鳴り物入りで設置された。だがこの間、予定された最大出力7000㌔㍗での運転がほとんど実施できていないことが明らかになった。
当局は困惑を隠せないが、今後、風の弱い夏季は4000㌔㍗にとどまり、年末以降に最大出力での運転を試みるという。来年3月まで研究を続け施設の適正規模を見極める方針だが、当初の計画から大きく後退するかもしれない。
洋上発電の施設は規模が大きく、開発では国が主導しそのメリットを示さないと、企業の投資意欲は湧きそうにない。企業が動かないと成功はおぼつかない。
「洋上風車が普及するには、国がロードマップをしっかり作り、電力の10%をまかなうようにするという大きな目標を持つことが重要」(15年日本海洋政策学会での専門家の指摘)であり、国の決断を促したい。