「七月の蝌蚪が居りけり山の池」(高浜虚子)…


 「七月の蝌蚪が居りけり山の池」(高浜虚子)。「蝌蚪」とは難しい漢字だが、オタマジャクシを指す。きょうから7月。夏本番という天候が続く。

 気象庁が、関東甲信地方は先月29日に梅雨明けしたとみられると発表した。このところ快晴で真夏日となることが多い。夏と言えば学生時代の長期休暇のことが浮かんでくる。ずっと昔のことながら、休みの間に行った海や山が思い出される。

 この時の夏休みはあっという間に終わった印象がある。何事もそうだが、終わってしまうと短いという感慨になる。その意味では、夏休み前に旅行や帰省の計画を立てていた時期が一番楽しかった気がする。

 「三千の松明が消え山開」(長谷川水靑)。きょうは、山開きや海開きが各地で開催される。富士山でも行われるが、ルートによって違っているので注意が必要。基本的に山梨県側は1日、静岡県側では10日となっている。

 かつては山は神聖なものであり、入山するには、山の神に祈り、その許しを得る必要があった。それが近現代になって、山開きが単に登山解禁の意味になっている面がある。

 稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』の「山開」の項目には「夏は、信仰のため、スポーツのための登山が多い。梅雨が明けて炎天が続くようになると、山が落ち着いて危険が少なくなり、誰にでも登りやすくなるからである」とある。油断すると遭難したりする危険がある。心して山開きや海開きを迎えたい。