米朝首脳会談の開催場所と日時が決まり、…
米朝首脳会談の開催場所と日時が決まり、北朝鮮から解放された米国人3人も帰国した。午前3時近くにもかかわらずトランプ米大統領は、ワシントン近郊アンドルーズ空軍基地で出迎え、「3人を助けられて光栄に思う」と実績を強調した。
米メディアも伝えるように異例なことだ。11月の中間選挙を控え、国内問題で逆風の絶えないトランプ氏としては、北朝鮮の核・ミサイル問題で成果を出し、アピールしたいところだろう。
北朝鮮の金正恩氏も当然、足元を見ている。やや前のめりとも取れるトランプ氏の言動を心配する向きもあるだろう。
その後、インディアナ州で行った演説では「世界のために、北朝鮮、韓国、日本、中国のために、われわれは大いなる取引(ディール)を行う」とも語った。「取引」という言葉も気になる。
ただ、外交交渉には取引の側面がある。英国の外交官、ハロルド・ニコルソンは著書の『外交』で、職業外交の基礎を据えたヴェニスの外交機関は元来、商業的な機関であったことなどを挙げ、「昔の素人外交を専門職業外交に変えた主な動機は、商業的動機であったと論ずることもできよう」と指摘している。同書は外交官を目指す人の必読書と言われる。
理念やスタイルを先立たせたクリントン、ブッシュ(子)、オバマの3大統領には解決できなかった北朝鮮の核・ミサイル問題。海千山千のビジネスマン出身大統領だからこそ、期待できるものがあるのかもしれない。