東日本大震災で家族を失った遺族ら4人が…
東日本大震災で家族を失った遺族ら4人が、地元の宮城県名取市に対し「市は広報車による避難誘導を実施しなかった。災害対応に落ち度があった」などとして損害賠償を求めた訴訟の判決があり、仙台地裁(高取真理子裁判長)は請求を棄却した。
「広報車を向かわせれば、津波に巻き込まれる可能性があり、広報車での伝達を行わなかったことには合理的な理由がある」などが判決の趣旨。とはいえ、裁判は「地域防災計画」に基づく自治体首長の判断の難しさもうかがわせた。
災害対策では4年前、広島市で起きた土砂災害の教訓から土砂災害防止法が改正された。都道府県などによる警戒情報が発表された場合、避難勧告の判断基準として活用するよう、知事が関係市町村長に伝達するなど注意深い対応が義務付けられた。
それに呼応し各自治体の防災担当者は、住民に対する災害への注意喚起の機会も増えてきている。ただ、日頃の行政と有事への対応は自(おの)ずと異なっており、危機管理の強化を求める専門家の声は少なくない。
例えば局地的な豪雨では、都道府県の警戒情報が届くのを待つべきか、あるいは目視による危機状況を素早く住民に知らすべきか。線状降水帯によって起きた昨年の九州北部豪雨の被害現場でも判断が分かれた。
また災害時、日中か夜間かで避難経路の安全性がずいぶん違う場合もあり、必ずしも所定の避難場所がベストではない。的確な誘導が必要だ。