JR渋谷駅と渋谷マークシティを結ぶ2階通路…
JR渋谷駅と渋谷マークシティを結ぶ2階通路に「明日の神話」と題する故岡本太郎の壁画が設置されている。作者がメキシコのメキシコ市で1968年から翌年にかけて制作した作品。
壁画は完成したが、設置されるホテルが完成できず、建物は人手に渡り、壁画も行方不明になった。養女の岡本敏子が探して見つけたのは2003年9月。日本に持ち帰って修復し、08年今の場所に置かれた。
大阪万博のシンボルである「太陽の塔」は「明日の神話」と同じ時期に造られた。万博のプロデューサーをしていた超多忙の時。ある会合で、太郎自身がその時のことを語るのを聞いたことがあった。
「ホテルに行くと、受付でお名前はと聞かれ、忘れてしまって、大慌てしたことがありました。おれの名前は何だっけ?」。意表を突く言葉で知られた人物だったが、気流子もこれにはびっくり。
その後、彼の文化論を読んでみたが、恐ろしい勉強家で、民俗学についての造詣は専門家以上。知性とパフォーマンスとを結び付けにくいところがあったが、真剣な生き方という点では共通している。
「太陽の塔」は16年から耐震化や修復工事を進めてきて完成し、先日塔内が48年ぶりに一般公開された。塔内部には生物の進化を示した「生命の樹」が残されている。太郎の芸術は分かりやすいようで謎がある。彼の知性と情緒とを照合してこそ「芸術は呪術」という本質が浮かび上がる。