オーストラリア西部で「瓶入りの手紙」が…


 オーストラリア西部で「瓶入りの手紙」が海に投げ入れられてから約132年ぶりに見つかった。紙にはドイツ語で1886年6月12日、発見された場所から西におよそ1000㌔離れたインド洋で、ドイツの帆船から投げ込まれたと記されている。

 紙にあった帆船の船長のサインの筆跡が、船長が残した航海日誌のものと一致したという。紙には「見つけた人はドイツ領事館に知らせてほしい」と依頼する文章の記載も。

 「時空を超えたメッセージ」の発見は、ややもすると日常に忙殺され、目先のことを処理することで頭がいっぱいの現代人に、時間の価値についてはっと気付かせるものだ。ロマンも感じる。

 「タイムカプセル」の行事に小学生のころ参加したことがある。長じて開けてみて自分の再発見につながったことを思い出す。今回の出来事は少し大げさな表現だが、人類のアイデンティティー確認の一コマだったと言えそうだ。

 手紙が入っていた瓶は、海流を推計するために投入する「海流瓶」だそうだ。当地の博物館に展示された瓶の写真を見ると、回収するために海上での耐久性や波動に対する力学的安定性を高めた丸みのある形状もうかがえる。

 当時、日本を含む各国が海洋進出を狙い、正確な海図を作るために同様の調査を行っていたようだが、その競争心のたまものだ。それにしても100年以上も海上の自然環境によく耐えたものだ。航海の軌跡をあれこれ空想する。