今さらこの言葉を持ち出すことに忸怩たる思い…


 今さらこの言葉を持ち出すことに忸怩(じくじ)たる思いであるが、言わないわけにはいかない。スポーツはルールを守ることが第一で、これによって公正さが保たれるのである。それを自ら破っての、平昌冬季五輪への北朝鮮の参加追認を宣言したIOCの姿勢に呆(あき)れる人も多いだろう。

 北朝鮮の参加を認めたアイスホッケー女子のほかフィギュア・ペア、スピード・ショートトラック男子、スキー・アルペン男女などの選手22人のうち当初、自力で出場枠を獲得していたのはフィギュア・ペアだけ。それも期限内に参加申し込みをしなかったので、無効となっていた。

 ルール無視。これほどの横紙破りをしてまで北朝鮮参加に前のめりの韓国の姿勢に「あの予選は何だったのか」とわだかまりを消せない関係者も多いのでは。特に、これらの種目で予選落ちした各国の選手や出場機会が減る韓国のホッケー選手には。

 韓国の文在寅大統領はホッケー選手に「(統一チームは)歴史の名場面となる」と説き、李洛淵首相は「もともとメダル圏内にあるわけではない」と言い放ったとされる。

 そうであれば、五輪を迎える国のトップとして、スポーツに対する無知、あるいは敬意を欠く発言に驚かされる。

 大義に掲げる「南北融和」も、過去3回の五輪での南北合同入場行進で一時的に「融和ムード」が演出されたが、結局は幻想だった。その間も、北朝鮮は核とミサイル開発を着実に進めていたのだ。