どの新聞にも掲載された記事ではあるが、新年…
どの新聞にも掲載された記事ではあるが、新年5日付の毎日新聞第1面トップ記事は「交通事故死 戦後最少/68年ぶり 17年3694人」であった。前日の御用始めに、警察庁が前年の公式統計を発表するのを受けて出る毎年恒例のニュースである。
それをトップに据えたのは、いかにも毎日らしい。他に記事がなかったわけではあるまい。毎日の平日夕刊(社会面)には、同庁発表の前日と、年初から同日までの全国の交通事故死者数が交通安全標語とともに掲載されている。
それほど交通安全キャンペーンに熱心に取り組んでいるからだが、ニュースそのものも扱いが決して過大ではない価値を持つ。毎日でなくとも特段の扱いをしてもおかしくはないはずである。
交通事故死者数はピークの昭和45(1970)年に1万6765人に達した。昨年はその5分の1近くに減り、戦後最少だった昭和24年の3790人を68年ぶりに下回った。
事故で泣く家族や関係者がそれだけ減り、運転者一般は損害保険料が引き下げられる恩恵にあずかる。それに、走っている車もまばらな戦後間もない時期と、車が爆発的に増加して渋滞する今日とを比較すれば、まさに画期的な成果と評価しても大げさではあるまい。
小欄では毎日のデータを基に計算し昨年7月11日付という早い時期から再三にわたって、交通死者数が戦後最少となる可能性が高いことを指摘してきた。ささやかな自慢をお許し願いたい。