JR西日本の新幹線の台車に亀裂が入るなど…


 JR西日本の新幹線の台車に亀裂が入るなど度重なる輸送障害の背景について、石井啓一国土交通相は「設備の老朽化、複雑化に加え、現場要員の高齢化や若手技術者の不足など構造的な問題も考えられる」と指摘した。

 その通りだが、どの課題も克服することはなかなか難しい。先の二つは費用を掛けることで何とか凌(しの)げるかもしれないが、要員高齢化の問題などは一朝一夕で解決できるものではない。また若手技術者不足は、JR、私鉄各社だけでなく、自動車業界にとっても死活問題だ。

 この間、メーカーは技術革新を軽視していたわけではない。例えば先頃、日産が開発した「VCターボ」エンジンには見るべきものがあり、今後開発競争に火が付くかもしれない。

 しかし総体的に、技術(機械)を覆い隠すデザイン理論部門への投資が優先され、技術の本質が人間の目から遠ざかる方向に向かってきた。技術継承が思うに任せないのは、企業トップの心がそちらに向かないからだ。

 その日産の無資格検査問題をめぐって、国交省は道路運送車両法に基づき、横浜市の本社に立ち入り検査した。この問題では、日産が約120万台をリコール(回収・無償修理)する事態となった。

 「検査結果を見て、今後必要な対応を厳正に行う」と石井国交相。ものづくり大国の矜持(きょうじ)をつなぎ留めるために、同様の不正行為を行っていたSUBARU(スバル)に対しても断固とした措置が必要だ。