島国日本は6852の島嶼(とうしょ)から成って…


 島国日本は6852の島嶼(とうしょ)から成っており、そのうちの約6400が無人島である。周囲が100㍍以上あれば島とされるから、中には大きな岩礁程度のものも含まれるだろう。それでも、れっきとしたわが国固有の領土である。

 ましてそれが国境に位置する場合、重要性はさらに増す。領海や排他的経済水域(EEZ)の基点になっているからだ。

 漁師や海上保安庁を除きこれまで、ほとんど関心が向けられなかった無人島だが、沖縄県・尖閣諸島問題などで状況が変わった。政府は領海保全のため2012~14年、国境に位置する491島のうち207の無人島に名前を付けた。さらに昨年度は所有者のいない277の島を国有にし、国が管理することを決めた。

 こうした措置が講じられたのは大きな前進だ。問題は実効的な支配と保全である。北朝鮮の木造船漂着が相次ぐ中、10人が乗った船が一時避難しているのが発見された北海道の松前小島も無人島だ。

 島には海が荒れた時に漁師が避難するための港や避難小屋が整備されていたが、そこに置かれていたテレビや冷蔵庫、防寒着などの備品がなくなっていることが分かった。木造船の乗組員が持ち出したらしい。

 避難時に頼りとする備品が荒らされ、漁師たちも不安だろう。無人島の保全・管理の難しさを物語る事件だ。木造船漂着の背景も気になるが、わが国領土である無人島に国民がもっと関心を持つことが、保全の第一歩である。