「歩行者は反射材を着用し、ドライバーは…
「歩行者は反射材を着用し、ドライバーは前照灯の早めの点灯を心掛けて」と警察庁の担当者は呼び掛けている。同庁がこれまで5年間の「薄暮」(日没前後1時間)の時間帯に起きた死亡事故の分析から出た対策である。
分析では10~12月の3カ月平均の死亡事故が5~7月の約2・6倍に上っていることが分かった。薄暮や夜間の死亡事故の約半数が自動車と歩行者の事故で、歩行者の方は散歩や買い物中の65歳以上が多いという。
一方で昨年起きた夜間の死亡事故のうち、主に歩行者の発見が遅れた225件の分析から、自動車の前照灯を上向き点灯(ハイビーム)にしていれば回避できた可能性の高かったケースが126件(全体の約56%)に上ることも明らかに。
薄暮の闇が深くなり、忘年会シーズンで飲酒の機会も増える師走は、一年で最も交通事故死者が多くなる月である。昨年は420人、一昨年も442人と月ごとで唯一、400人台を記録してきた。
これを冒頭の呼び掛けに応えて何とか抑え込みたい。その先に見えてくるのが交通死者の戦後最少記録(昭和24年の3790人)の更新だ。
11月までの交通死者は3312人だから、今月が478人未満であれば達成となる。達成はほぼ確実で、これは戦後間もない時期と車が爆発的に増加した今日とを比べれば、画期的な成果だと評価されてよかろう。改めて「命を守る早めのライトと反射材」(秋の交通安全ポスター)に留意を。