第48回衆院選は、北朝鮮の核・ミサイル開発と…


 第48回衆院選は、北朝鮮の核・ミサイル開発と少子高齢化を「国難」と位置付け、国民の信を問うた安倍晋三首相(党総裁)率いる自民党が単独でも絶対安定多数(261議席)をうかがう勢いだ。

 12日間の選挙戦で与野党間の議論が尽くされたわけではなく、むしろ国民の側が、直面する北朝鮮危機を切実な問題と捉えていたのではないか。実際、これまでのミサイル発射で避難した人もいる。

 少子高齢化の危機感についてもしかり。幼児教育無償化によって即、この課題を克服する展望が開けてくるのではないが、政治が大きな一歩を踏み出すという期待感は大きかった。

 北朝鮮問題とともに、アジア太平洋地域で覇権を目指す中国の脅威にどう対処するか、この課題にも選挙後、しっかり取り組まなければならない。その中国で5年に1度の第19回共産党大会が開かれている。

 共産党が政治、経済、社会などすべての活動を指導する一党独裁の体制を強化し、強国路線を推進する構えだ。大会では、その強権を正当化しようとしている。中国は民衆が選挙を通じて国家の運営に参加することができない国だ。

 哲学者のヴィーコは「社会は螺旋(らせん)を描いて発展する」と主張した。共産党独裁は反対派を粛清しながら直線的な社会改革を目指す。一方、すべての国民に問い、確認し合いながら国の足場を固めていく民主主義は螺旋型の社会発展をもたらすと言える。民主主義の強さを信じたい。