「また期待に応えられるように、横綱という…
「また期待に応えられるように、横綱という名を汚さぬようにやっていきたい」。3月の大相撲春場所終盤に左肩を負傷しながら連覇を果たした横綱稀勢の里が、14日初日の夏場所出場への“決意表明”をした。
東京・グランドプリンスホテル新高輪の大宴会場「飛天」で開催された「横綱昇進披露宴」に駆け付けた約1500人を前に語った。決意を裏付けるように、慶事の当日朝に九重部屋に出稽古を敢行したのが、いかにもこの横綱らしい。
披露宴では横綱審議委員長の北村正任氏(毎日新聞社名誉顧問)による祝辞の横綱論が印象深かった。稀勢の里の横綱推挙は1月の審議委員会の全会一致で10分で決まったが、<こんな大事をたった10分で決めていいのか><1回の優勝だけで甘くないのか>などの批判も出た。
北村氏は「時間は10分でも、当時の守屋秀繁委員長(千葉大学名誉教授)は事前に全委員から意見をしっかり聞いた上での全会一致」。1回の優勝でも「春場所の劇的優勝で、横綱誕生は間違いない判断だった(ことを示した)」と振り返った。
そして「ファンは正々堂々としたもの、美しいものを見たいという気に満ち満ちている。横綱に求められるのは品格と力量抜群ということだが、稀勢の里関は土俵上での所作が美しい。勝っても負けても静かさを失わない美しさが魅力」と激励した。
小欄(1月24日付)も「蹲踞(そんきょ)から立ち上がる所作が最も美しい横綱」と書いた。