俳人協会賞と俳人協会新人賞の授賞式が、…


 俳人協会賞と俳人協会新人賞の授賞式が、東京のホテルで開かれた。俳人協会賞を受賞したのは「火星」主宰の山尾玉藻さん。大阪市在住で、受賞の知らせのあった時、春日大社で吟行をしていたという。

 家で選考結果を待つのに耐え切れず、仲間を呼び出して、ぜんざい屋でミニ句会を開いていたところ。受賞の報を電話で受け取り、句会はお祝いの場となった。句集『人の香』が受賞作。

 選考委員長の山崎ひさをさんはその写生句を、端正で、落ち着いていて、上質で、魅力的と称(たた)えた。「十三夜なんぞと夫の外にゐさう」は亡き夫を詠んだ句。山尾さんの特技が散髪で、いつも夫の髪を切ってあげていたという。

 句集『山羊の角』で新人賞を受賞した鎌田俊さんは、「河」副主宰。選考委員長の茨木和生さんは、「いそぎんちやく波に遅れてゆらぎけり」などを挙げ、目の確かな、言葉の豊かな作家と称える。

 句集『天心』で同じ新人賞を受賞した櫛部天思さんは「擽」副主宰で、高校教師。茨木さんも学校の教師だったが、「先生よ師よ十二月十四日」という句について「よく日にちまで入れて作った」と感心する。

 櫛部さんの俳句の師、阪本謙二先生は高校の校長でもあった。そこで先生と師の言葉が出てくる。12月14日はその命日。櫛部さんは愛媛県松山市在住で、俳句甲子園の舞台だ。受賞の報のあった日、文芸部の活動の最中で、鍛錬句会の合評の終盤。高校生俳句に懸ける思いも熱い。