スーパーのお惣菜コーナーに竹の子の料理や…
スーパーのお惣菜コーナーに竹の子の料理や炊き込みご飯弁当などが並んでいる。近所の人から「庭で芽を出したので」と頂いた蕗(ふき)の薹(とう)を刻んだ合わせ味噌(みそ)に、待ち遠しい自然の春の兆しを少しばかり。「ほろ苦き恋の味なり蕗の薹」杉田久女。
蕗の薹は、雪の中から薄緑色の葉のコートを羽織って卵形の花芽を出す春を告げる使者。キク科の多年草で山菜の代表格だが、都会でも庭の草むらから採って楽しめる早春の味覚である。
昨日の東京は最高気温15・7度と4月並みの暖かさとなった。が、まだまだ立春を過ぎてからの冷え込みは余寒で「余りものの寒さ」とはいかない。暦の上では春でも、なお冬が居座っていて、きょうからまた風の冷たさもひとしおに冴(さ)え返りそう。
それでも今年は各地から梅の早過ぎる開花が伝えられている。先月7日奈良、10日東京・名古屋・福井、11日静岡など。
学問の神様として菅原道真を祭る湯島天神(東京・文京区)を訪ねたのも先月8日だった。合格祈願の絵馬が鈴なりの境内で、すでに白梅がちらほら花を咲かせていたのに驚いた。
梅は寒さに向かってつぼみを膨らませ、それぞれが凛(りん)とした上品な花を咲かせ、辺りに芳気を放つ。決して群れない一輪一輪が個性豊かな気を発して、人の心を落ち着かせ、励ますようなところが受験生の心にも通じるのかもしれない。「冬の梅あたり払いて咲きにけり」小林一茶。