日本のアニメは世界中で注目され、海外で…
日本のアニメは世界中で注目され、海外で展開する「クールジャパン」の一つ。映画「君の名は。」は海を越えて中国でもヒット中だ。
その一方で、一昨年あたりから日本のアニメ制作キャパ(作画能力)の限界が見え始めたという。2015年のテレビアニメ制作タイトル数は全体で341本、うち108本が継続タイトルで新作は前年から18本増加しただけだ。
「新しい企画への出資や新作の制作があったとしても、すでに制作現場はフル稼働状態で、スタッフの数はそのニーズほど急激に増加しない」と業界通。職場環境の整備も十分でなく、若手制作者の平均年収は110万円(「アニメーション制作者実態調査報告書2015」)だという。
さらにディズニーで鳴らした米国、日本の下請けを長年続け作画のノウハウを得た中国、韓国、そしてアニメの元祖をうたう西欧などが日本アニメに対抗。キャラクターも独自のものを増やし始めている。
手書きによる作画でなく、ペンタブレットによる見栄えのいい絵を大量に描けるようになったのも、彼らの追随を許している理由の一つ。日本アニメが持つ“風合い”や言葉と表情の「間」の巧みさ、物語の質の高さには及ばないものの、大きな競争相手になってこよう。
わが国を起点とするアニメ文化の隆盛は頼もしい。しかし今後も卓越した日本アニメを世界に送り続けるには、業界の職場環境の改善とともに若手人材の育成が急務だ。