平成の御代になって30年近く。経済のグローバル…


 平成の御代になって30年近く。経済のグローバル化が進む中、各メーカーは命綱の主力製品のほか、他の分野にまたがる事業、製品製造に力を入れるようになった。

 2018年に創業100年を迎える大手化学工業メーカー、日東電工もその一つで「次の100年に向け、多軸創出を図る」と高崎秀雄社長。もともと粘着技術などをベースにした包装材料や半導体関連材料、光学フィルムの製造が主だった。

 「多軸」の一つになりつつあるのは既に世界トップのシェアを持つ核酸医薬品の受託製造。「元をたどれば1970年代のばんそうこうからスタートした分野。今は転換点にある」と説く。

 今後は製薬会社などと協力しながら、舌下で錠剤を溶かすタイプのインフルエンザワクチン開発などにも力を入れる考えだ。今こそ、経営者の新事業開拓や戦略形成の能力が問われる時なのだろう。

 新素材、コンピューターソフト、産業ロボット、環境保全設備、リースなどのサービス、経営コンサルティングなどの事業分野……。従来これらは将来性があると指摘されるものの、前途が不透明な事業分野で、既存大企業が手を出しにくかった。

 しかし力のあるメーカーが「多軸」の一つとして採用し、下請け企業や系列システムといった組織を取り込み成長していきそうな勢いだ。科学の基礎研究も大切だが、メーカーで生き生きと活躍する理工系や医学部卒の若手社員にも期待したい。