9月の訪日外国人数が過去最高の191万人と…


 9月の訪日外国人数が過去最高の191万人となり、今年の累計訪日客数は前年同期比で24・1%増の1797万7700人となった。この勢いでいけば訪日客2000万人は、早ければ10月中に実現する見通しという。

 外国人観光客の増加に気を良くした安倍晋三首相は今年3月、2020年までの目標を当初の2000万人から4000万人に引き上げた。

 観光業を名目国内総生産(GDP)600兆円の起爆剤、そして地方創生の切り札にしようというわけだ。実際、北陸の金沢など訪れると、外国人観光客を多く見掛ける。

 そんな彼らの人気スポットとして有名になったのが、京都の伏見稲荷大社。朱色の鳥居が延々と続く「千本鳥居」がそのお目当てだ。国内で「パワースポット」として注目されていたが、海外の旅行情報のサイトで取り上げられ一気に人気を集めるようになった。

 伏見稲荷は、世界文化遺産「古都京都」に含まれていないというのも面白い。しかし考えてみれば、日本美術の世界的な価値を発見したのは、廃仏毀釈で捨てられた仏像などを集めた明治のお雇い外国人、アーネスト・フェノロサであり、その感化を受けた岡倉天心であった。

 日本人が見過ごしていた日本の魅力を外国人が発見し、それを機に日本人がその価値を再発見することは今でもあることなのだろう。地方を訪れた訪日客がどんな日本を発見するか、その意外性も期待したい。