「ロッシーニ ルネサンス」という言葉がある…
「ロッシーニ ルネサンス」という言葉がある。オペラ作曲家のG・ロッシーニ(1792~1868)は彼の時代から今日までよく知られているが、演奏されてきたのはごく一部の作品。
1825年パリで初演された“幻のオペラ”「ランスへの旅」が1984年に復元蘇演。20世紀末になると知られざる作品が次々上演されて、世界中の愛好家たちから注目されることとなった。
日本でも再評価と研究の発展を継承し、研究、演奏、批評など、さまざまな角度から貢献しようと、95年12月日本ロッシーニ協会(水谷彰良会長)が設立された。翌年1月から活動を開始し、今年で20周年。
これを記念するガラコンサートが、東京文化会館小ホールで開催された。ナビゲーターは朝岡聡さんで、言語と文化の壁を取り払って、聴衆をイタリアオペラに誘うガイドぶりは秀逸。
ロッシーニのオペラは物語そのものよりも、歌い手たちの技巧を駆使した歌唱力でドラマの面白さを表現した。超絶高音やアクロバチックな装飾音の表現は、同協会の歌手たちの聞かせどころ。
ソプラノの家田紀子さん、佐藤美枝子さん、高橋薫子さん、バリトンの三浦克次さん、ピアノの金井紀子さんら16人が出演。全16曲が演奏された。最後は「ランスへの旅」より14声の大コンチェルタート「ああ!かくも思いがけぬなりゆきに」。金井さんの指揮で14人のソリストが勢ぞろい。絢爛豪華な声の饗宴だった。