熊本県の阿蘇山中岳(1506㍍)の第1火口で…


 熊本県の阿蘇山中岳(1506㍍)の第1火口で爆発的噴火が発生したのは、8日午前2時前のこと。地元住民はさぞ驚き、不安な一夜を過ごしたことだろう。

 広範囲に噴石が飛散した様子も、火口付近に設置されたカメラで確認された。同火口で大きな空気の振動を伴う爆発的噴火が起きたのは1980年1月26日以来、36年ぶりだった。

 熊本、大分、愛媛、香川の4県で降灰が確認されたそうで、噴火の規模の大きさが分かる。ただ気象庁によると、今年4月の熊本地震が噴火の引き金になった可能性については明らかでない。

 今日、火山の噴火の仕組みや種類はかなり詳しく分かっており、今回はマグマの熱で地下水が沸騰し爆発する「水蒸気爆発」だとみられる。阿蘇山は一昨年夏頃から火山活動が活発化しており、その兆候も見られたという。

 素人考えだが、そう見ていくと、熊本地震による断層のずれ、地下エネルギーの移動が何らかの形でマグマに作用し、爆発の威力をより高めたのではないか。地震と噴火を結び付けて考えたくなる。

 1792年、熊本県の有明海越しの島原で地震が起こった。連動して普賢岳から噴煙が昇ったが、住民はその意味を理解できず、その後に起きた大地震で多くの死者を出した(寒川旭著『日本人はどんな大地震を経験してきたのか』)。こうした時代に比べ、人々の自然災害に関する実践的知識が大きく進歩していることを信じたい。