人類に恩恵をもたらした発明や発見に与えられる…
人類に恩恵をもたらした発明や発見に与えられる最高栄誉のノーベル賞。その受賞者が発表される<ノーベル賞週間>は、今年も日本および日本人にとっては歓喜の幕開けとなったことを祝いたい。
大隅良典・東京工業大栄誉教授(71)が医学生理学賞に輝いた。細胞内のたんぱく質などを一気に分解し、再利用する「オートファジー(自食作用)」の仕組みの解明で、この分野の研究を飛躍・発展させたことが受賞理由。
大隅氏は昨年3月に、受賞者の多くが後にノーベル賞を受賞しているカナダの医学賞「ガードナー国際賞」に選ばれ、有力候補であった。
これで日本人のノーベル賞受賞は3年連続、医学生理学賞では感染症治療法の開発で受賞した昨年の大村智氏(北里大特別栄誉教授)に続き2年連続。物理学、化学賞と合わせた自然科学3賞の受賞者は計22人となった。受賞ラッシュとなった2000年以降に限ると17人を数え、米国に次いで世界第2位の<ノーベル賞大国>だ。
ラッシュはまだ続くのか。確かに日本の科学は層が厚く、今年の有力候補者も3賞それぞれに大隅氏を含む5~6人がリストアップされていた。
勢いはしばらくは続こうが、気掛かりも出ている。世界トップクラスの論文に、日本の占める割合の低下が指摘され、雇用不安から博士課程を目指す学生や博士号取得者が減少傾向にあることなど警鐘も鳴っているのである。