米国と国交回復した社会主義国キューバを訪れた…


 米国と国交回復した社会主義国キューバを訪れた観光客がこの1~7月、245万人と、前年同期比約12%増。ホテル業界への米国や中国資本の流入も始まっている。

 先月下旬、国連総会での演説を終えた安倍晋三首相はその翌日、米国からキューバへ直行し、フィデル・カストロ前国家評議会議長と会談。首相は北朝鮮の核兵器開発などへの反対を表明し、北朝鮮へその旨を伝えるよう期待を述べた。歴史の歯車が回りかけている。

 キューバは、ラテンアメリカ諸国の中でも、最も早く西洋文明に触れるなど、歴史の深い秘密を持つ国。革命後、反米姿勢を貫いたが、オバマ米政権は昨年7月、54年ぶりに国交を回復した。

 サンデー世界日報に連載中の『カリブ海の宝島 キューバひとり旅』の筆者・武田修さんは昨年同国を旅し、今のキューバ社会について「貧富の差が他のどの国よりも大きくなっている」と記している。

 ところが「対策が急務なのではないか」と質す武田さんに対し、現地のドライバー・エルネストさんは、その必要性をすぐさま否定した。「自由があれば平等はない、という理屈らしい」と、武田さんは忖度している(10月2日号)。この連載は、庶民の言動を通してキューバ経済の苦境と近未来をさらりと描き出している。

 キューバは今後、日本をはじめ、海外からの投資が展開していく過程でどう変わるのか、興味深いところだ。