月刊誌「潮」6月号で「二十一世紀に求められる…


 月刊誌「潮」6月号で「二十一世紀に求められる知性とは何か。」と題し、山極壽一・京都大総長と水野和夫・法政大法学部教授が対談している。

 その中で山極さんが「現代の経済を見てみると、個人の『所有』ばかりが強調され、物を他者と分かち合う『共有』の価値が軽視されている」と切り出したのに対し、最近の若者の動向について水野さんが次のように述べている。

 「日本の若者に目を向けると、『所有』という概念から解放されている」。その例として「友人と自動車を共有するカーシェアや、友人と一緒に住むルームシェアが流行っている」「マイホームやマイカーが夢であった時代では考えられなかった出来事が起こっている」と。

 実は、最近気流子が東京・板橋区の中堅不動産会社社長に若者の不動産・住宅意識について聞いた時、水野さんの発言とそっくりの答えが返ってきた。さらに、若者が孫として相続した不動産売買の現状から見ると「住宅取得が人生の成功の証という意識は薄い」とも。

 両者は違ったテリトリーの専門家であり、若者を論じる視点やその内容の期せずしての一致は印象的だった。水野さんは「時代はいま『所有』から『共有』へと大きく転換」とも。

 さまざまな自然災害の救援ボランティアで若者が率先しているのは周知の事実。モノの分野で進む若者の「共有」志向が、共感を動機とする奉仕活動と関係があるのかどうか、興味深い。