秋を代表する果物の一つにナシがある。8月の…


 秋を代表する果物の一つにナシがある。8月の「幸水」、9月の「豊水」と「あきづき」、そして10月の「新高」と、味わいの異なったナシを長期にわたって食べることができる。

 埼玉県はナシの生産の盛んな所で、東部の久喜市、白岡市、蓮田市、北部の神川町、上里町などが主産地。県の園芸研究所で「新高」と「豊水」を掛け合わせ、オリジナル品種として育成したのが「彩玉」。

 2005年に品種登録され、枝を分けてもらった農家で栽培が始まった。早速、この品種を作り始めた一人が蓮田市に住む廿浦敏雄さんだ。登録以前から注目していて、期待をかけていた。

 今年で10年になるが「彩玉は有望です」と自信を持って言う。収穫の時期は「幸水」と「豊水」の間。両者よりも二回りも大きく、みずみずしくて糖度が高い。だが収穫期間は1週間から10日と短い。

 「収穫が遅れると甘さが薄くなってしまうのです」と廿浦さん。販売は県内だけだが各地から注文があるそうだ。今では同県のナシ生産量の11%を占めるまでになった。年々、栽培する農家も増えているようだ。

 接ぎ木をすることで、2~3年で収穫できるが、1本の木に多く接ぎ木することで、枝葉部分の樹冠を「彩玉」に切り替えることができる。県の園芸研究所では、主枝更新と側枝更新を同時に行うことで、短期間に「彩玉」を生産拡大できる技術を確立している。