「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」(松尾芭蕉)…


 「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」(松尾芭蕉)。正岡子規↓高浜虚子の近代俳句特有の「写生」とは一味違った句だが、地上での生活が短いセミのはかなさが伝わってくる。

 手元の記録を見ると、ミンミンゼミの今年の鳴き始めは7月25日。10年前、2006年は8月4日だった。ツクツクボウシは今年は7月30日が鳴き始め。10年前は8月11日。クマゼミは今年8月2日、10年前は8月14日。

 10年間で約10日早くなっている。理由は地球温暖化に違いない。暑苦しいアブラゼミの記録はないが、他のセミと同様だろう。早く鳴き始めたからといって、早く鳴き終わるわけでもなさそうだ。セミの鳴く期間全体が長くなっている。夏が長くなったのだ。

 関東には30年前クマゼミはいなかった。西の方からやって来て、今ではしっかり根付いている。若者はもともと関東にはクマゼミがいなかったことを知らないかもしれない。

 そのクマゼミも、現在では北関東ぐらいまで北上しているだろうか。セミを含む昆虫についての情報がメディアで扱われることが少ないのは、虫を「気持ち悪い」と感じる人が多くなったためだろう。

 それにしても、5~8年地中にいるセミが、「地球もだんだん暑くなってきたようなので、今年は早めに地上に出ようか」などと考えるのだろうか。温暖化をどうやって知るのか。専門家はとっくに分かっているだろうが、不思議と言えば不思議な話だ。