リオデジャネイロ五輪開催まであと2週間…
リオデジャネイロ五輪開催まであと2週間ほどに迫り、重要な決定が下された。スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、国家ぐるみのドーピングで国際陸連(IAAF)から受けた資格停止処分を不服としていたロシア選手68人の訴えを退けた。
ロシア陸上選手はリオ五輪に出場できなくなり、国際オリンピック委員会(IOC)は、ロシア選手団全体を除外するかを明日にも判断する。可哀想(かわいそう)なのは身に覚えがないのに、連帯責任を取らされる選手だ。裁定を不服とするよりロシア陸連と政府を批判すべきだろう。
仲裁裁判所と言えば、ハーグの仲裁裁判所が、南シナ海での中国の主権主張を退けたばかり。その判決を受け入れず、反発するところも両国は似ている。
ロシアの国家ぐるみのドーピングというのは、それほど意外な感じはしない。五輪を国威発揚の場と捉えた為政者は、ベルリン五輪をその格好の舞台と考えたヒトラーだけとは限らない。
冷戦時代には米国と並び2極の一つであったソ連。強いロシアの復活を目指し、プーチン大統領はウクライナ南部クリミア半島を併合し、シリア内戦へ積極的に介入している。スポーツの分野でも、強いロシアを演出しようと、なりふり構わぬ行動に出たとしてもおかしくない。
潔白な選手たちには気の毒だが、フェアプレーの精神、スポーツマンシップの大切さと厳しさを通し、ロシア政府に国際的な遵法(じゅんぽう)精神を学んでもらうしかない。